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八十八夜とは なぜ「八十八日」ではなく「八十八夜」なのか

2017.01.15

 

八十八夜とは なぜ「八十八日」ではなく「八十八夜」なのか

「夏も近づく八十八夜」この八十八夜という言葉を聞いたことがないという人はいないと思いますが、そもそもどういう意味なのか分からない、という方は結構いるのでは。

この記事では「八十八夜とは何なのかについて」という疑問について、わかりやすく簡単な言葉でお答えしていきたいと思います。

また八十八夜は、なぜ八十八「日」でなく「夜」なのかという疑問についても、私なりの考えをまとめてみました。


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八十八夜とは 

八十八夜とは「雑節」の一つ。

雑節とは季節の移り変わりの目安となる日で、節分や彼岸などもその仲間です。

また他にも同じような目安として、有名な「二十四節気」があります。

二十四節気とは春夏秋冬4つの季節を更に24等分したものにそれぞれ名称を付けたもので、立春や春分、秋分や冬至などがその仲間。

しかし、二十四節気も元々は中国から伝わってきたものなので、より日本の季節を正確に表すために、補助の形として日本独自に生みだしたのが雑節だったのです。

八十八夜は「立春から数えて88日目」のことで、現在では5月2日頃にあたります。

農作業の目安

ではなぜ、昔の人はここまで細かく季節を分ける必要があったのでしょうか。

現在我々は、地球が太陽の周りを一周する時間を一年と定めた太陽暦(新暦)を使用していますが、昔は月の満ち欠けを基準として1ヶ月と定めた太陰暦(旧暦)でした。

ですが月の運行は29.5日周期のため、旧暦の暦には一年に354日しかなく、現在の新暦の暦と比べて毎年10日以上も少なかったのです。

しかしそうなると、当然暦の日付と実際の季節にはズレが生じてくるようになり、毎年決まった時期に同じ作業を行なわなければいけない農家にとって非常に困った事態になります。

これを解決するために作られたのが太陽の運行を基にした二十四節気であり、そしてその補助として生まれた雑節だったのです。

八十八夜が示す目安

では、八十八夜という雑節は農作業にとってどのような意味を持った目安だったのでしょうか。

八十八夜の別れ霜、という言葉がありますが、これは八十八夜を境にして霜が降りなくなり気候も安定してくる、ということを表しています。

この時期の霜は「遅霜」と呼ばれ、農作物に大きな被害を与えるため、農家は非常に気にしました。

つまり八十八夜とは、気候の安定を示す一方「この日を迎えるまでは霜への注意を怠るな」という意味もあったのです。

また「八十八」という漢字を分解すると「米」という字になり「八」という漢字自体も末広がりを表した数字であることから、八十八夜は縁起のいい日として農家に大切にされました。

なぜ八十八「夜」なのか

しかし、なぜ八十八夜は八十八日ではなく「夜」なのでしょう。

ネットで検索してみると、少し気になる記述があったのですが、それは「太陰暦だったから」というものでした。

昔の旧暦である太陰暦は、月の満ち欠けを基準としていたため「夜」になったのではないのか、という説明でした。

しかしそうであるなら、同じ雑節で同じように立春から数えた日数で名前が付いた「二百十日」「二百二十日」は、なぜ「夜」ではないのでしょう。

そもそも、月の満ち欠けを基準とすると季節にズレが出てくるため、太陽の運行を基に作られたのが二十四節気であり、また雑節であったはずです。

八十八夜と霜

ここから述べる事は、あくまでも私個人の考えですが、昔の農家にとって、農作物に大きな被害を与える遅霜ほど怖いものはなかった。

そして霜というのは、基本「夜に降りる」ものです。

つまり、農家にとって霜によってもたらされる被害に最も気を付けなくてはいけないのは「夜」なのです。

ですので霜への注意喚起という点から考えると、八十八日より八十八夜としたほうが、その意図するところをより明確に表すことができたのではないのでしょうか。

霜で農作物がダメになるのでは、という不安を抱えながら一夜一夜を過ごし、霜が減って安定した気候になる「立春から88日目の夜」から、少しづつ安心して夜を越せるようになってくる。

そういった農家の心情からも、やはり八十八「夜」の方がより相応しかったのではないか、というのが私の考えです。

あと八十八夜という繊細な日本の感性を表すような音の響きや、その言葉としての美しさも「夜」になった要因の一つなのではないかとも考えています。

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