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小満とは その意味 名称の「少し満足」説はデタラメ?

2017.01.23

 

小満とは その意味 名称の「少し満足」説はデタラメ?

二十四節気のひとつ「小満(しょうまん)」

この「小満」なんですが、実はその名称の由来には諸説あり、二十四節気で最も難解な名称を持つ節気なのです。

この記事では以下の疑問について、皆さんと一緒に見ていきたいと思っています。

▼ 小満とは何なのか

▼ 小満という名称は「少し満足」から生まれたという説は間違いなのか

▼ 二十四節気が生まれた中国では、小満はどうのように定義されているのか

▼ 小満があるのに、なぜ「大満」は無いのか


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小満とは

小満とは、二十四節気(春夏秋冬を更に24等分したものにそれぞれ名称を付けた、暦の上での季節)のひとつ。

立春・春分・夏至・冬至などもその仲間で、昔は田植えなどの農作業の目安として使われていました。

小満は、例年5月21日頃にあたります。また次の節気の「芒種」(例年6月6日頃)までの期間も同様に小満と呼ばれます。

草木が生長してくる頃で、野山には緑が満ち溢れる時期ですが、走り梅雨という本格的な梅雨を迎える前のぐずついた天候がみられる頃でもあります。

小満とは その名称の本当の意味

「自然の特徴」説

この「小満」という名称ですが、非常にあいまいで抽象的なため、その由来には諸説あります。

まず一つめは他の二十四節気と同様に、その時期の気候に応じた自然の特徴からその名称が生まれた、という説。

例えば「穀雨」は穀物の生長を促す雨が降る頃を示していて「寒露」は野草に冷たい露が宿る頃を表わしています。

そして「小満」ですが、暦便覧での説明では「万物盈満すれば草木枝葉繁る」と記されています。

「盈満(えいまん)」とは「満ち足りている」ということ。

意味としては「陽気がよくなって草木が次第に生長して生い茂る頃」「全ての物が次第に生長し、一定の大きさに達する頃」など、色んな解釈がなされています。

つまり「次第に」生長し「満ちてくる」ことから「小満」ということなのでしょう。

しかしその名称の由来は、他の「穀雨」「寒露」といった節気に比べ、何だか分かったような分からないような、いまいちしっくりこないもののように思えます。

何となく「小満」という名称に、何とか意味を持たせようとする「こじつけ」のような感じがしないでもありません。

「少し満足」説

あとこれもよく言われる説ですが、この時期は麦に穂が付く頃なので「やっと麦に穂がついて、ホッとひと安心する」という気持ちを表したものだ、というもの。

「ひと安心」→「少し満足する」→「小満」

しかし、私はこの説を全くのデタラメだと考えています。

というのも、他の二十四節気で「人間の感情」を名称にしたものは、ひとつもないのです

他は全てその時期の気候や現象を名前の由来にしているのに、なぜ小満だけ、いきなり人間の感情がその名称になるのでしょう。

それに元々二十四節気は農作業の目安として作られたものであることを考えると、人間の感情なんて曖昧で主観的なものから名称が生まれたとは、どうしても考えづらいのです。

そしてこの「少し満足」という説が見受けられるのは、なぜかネットの中だけ

色々な文献を調べてみましたが、学術的な資料で見かけることは皆無。

それらしい記述があるのは、最近に発行された、いかにもネットの情報も参照にしているような書籍だけです。

おそらくその出所は、日本文化に特化した有名事典サイトの記述ではないかと思われます。

小満とは秋に蒔〔ま〕いた麦などの穂がつく頃で、ほっと一安心(少し満足)すると言う意味です。

田畑を耕して生活の糧〔かて〕を稼いでいた時代には、農作物の収穫の有無は人の生死にかかわる問題でした。

そのため、麦などに穂がつくと「今のところは順調だ、よかった」と満足したことから小満と言う名前が付いたようです。

【引用】日本文化いろは事典

ちなみに、このサイトに載せてある参考文献も全て調べてみたのですが、驚くことにその中にも「少し満足」なんて記述は一切なかったのです。

なぜこのような記述をしたのか分かりませんが「少し満足」=「小満」と非常に明快な根拠に見えるために、多くの人が納得してしまったのだと思います。

そしていろんな人がコピペを繰り返していくうちに、ネットの空間だけで、まことしやかに定着してしまったのでしょう。

「小満 少し満足」で検索してもらえば、どれだけ多くの人が、このデタラメを真に受けているかが分かると思います。

中には学校の先生であったり、お寺のご住職さんといった方もいて、ネットの情報の受け売りで、何の疑いも無く「少し満足」と説明されている。

ネットの情報というのは本当に怖いものだと思わずにいられません。

中国での解釈

どうしてもすっきりしないので、二十四節気の生まれた中国では、小満がどのように定義されているのかを調べてみました。

中国に住んでいる日本人の方のブログなどを中心に色々調べてみたところ、ほとんどの人が同じ意味のことを言っていたのです。

「小満」というのは、植物が実り始める頃です。でも完全に実っている状態(大満)ではないので、「小満」といいます。

大麦・小麦など夏に収穫される作物はすでに実を結んで粒は入っているが、まだ成熟していない。あと少しで満になる状態の時期のため小満と名付けられた。

つまり中国では「もう少しで成熟(大満)する前の状態」という意味の「小満」であり、日本で言われている説明よりずっと合点のいくものではないかと思います。

なぜ「小満」があって「大満」が無いのか

あと私が不思議に思うのは「小満」があるのに、なぜ「大満」がないのだろうという点です。次の図を見てください。

冬至を中心にして「小雪」「大雪」「小寒」「大寒」と続いているのが分かると思います。

そして夏至に関しても「小暑」「大暑」と続いていきますが、なぜか「小満」の隣りは「芒種(ぼうしゅ)」なのです。

ここからは私個人の解釈なのですが、二十四節気が作られる過程で、本当はこの部分も大小の対にして、形を揃えたかったのではないのでしょうか。

しかし何とか一方に「小満」という名称を付けたものの、次に「大満」と名付ける理由がどうしても見つからず、結局「芒種」になった。

つまり「小満」という名称は、形を揃えることを第一に考え作ったものであるために、他の節気に比べてその意味もその根拠もあいまいになってしまった、というのが私の考えです。

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