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丙午とは なぜ人々は「丙午の女」の迷信を信じたのか

2017.04.11

 

丙午とは なぜ人々は「丙午の女」の迷信を信じたのか

終戦から20年が経ち、高度経済成長の真っ只中の昭和41年。

しかしこの年、ある「迷信」により出生率は例年よりかなり減少してしまいます。

その迷信とは「丙午(ひのえうま)」の迷信でした。

この記事では「丙午」とは一体何なのか、当時の人たちはなぜ古い迷信を信じたのかという疑問について、わかりやすく簡単にお伝えしていきたいと思ってます。


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丙午とは

まずは「丙午」とは何なのか、という定義です。

現在私たちが言うところの干支とは「子丑寅卯・・」と続く「十二支」です。

しかし、昔の干支はその十二支に「十干(じっかん)」というものを組み合わせたもので、その数は60パターンもあったのです。

▼ 十二支

子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥

▼ 十干 

甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸

ややこしいと思われるかもしれませんが、現在の干支が12であるのに対し、昔はもっと細かく60に分かれていて、丙午もその中のひとつだと解釈すれば十分だと思います。

「丙午の女」の迷信とは

さて60もの組み合わせがあるのに、なぜ丙午だけがこれだけ特別視されるようになったのでしょうか。

実はこの丙午という干支に生まれた女の子は、大変気性の荒い女性になるという迷信があったのです。

干支という概念は元々中国から伝わってきたものです。

同じく中国には五行説という「全てのものは木・火・土・金・水の5種類の元素に分類することができる」という思想もありました。

そして干支の「丙」も「午」は、五行において「火」に属するものだったのです。

そのために中国では、丙午の年には火事などの災害に気を付けないといけない、と信じられていました。

しかしこれが日本に伝わると、ある事件と結びつくことにより、丙午生まれの女性は火の気がとても強く気性が荒い、という風に変化し広まっていったのです。

江戸時代に起きた大火事「天和の大火」によって、お七という女性が家を失い、親と一緒にある寺に避難します。

お七はそこでお寺の男性と恋仲になってしまうのですが、その内火事で失った家も建て直され、お七たちは寺を出ていかないといけなくなりました。

しかしお七の男性への想いは募るばかり。

そこでお七は「もう一度家が燃えれば、男性に会えるのでは」と思い自分の家に放火してしまうのです。

このお七が1666年の丙午生まれであったため、この迷信が生まれました。

そして丙午に生まれた女の子は気が荒いため、結婚が困難になり不幸になると言われるようになってきたのです。

なぜ人々は「丙午の女」の迷信を信じたのか

最近でもっとも近い丙午は昭和41年(1966年)でしたが、日本は高度経済成長の真っ只中であったにもかかわらず、この古い迷信によって出生率が大幅に減ってしまったのです。

これについて、なぜ当時の人々はこのような何の科学的根拠も無いことを信じたのか、ということがよく議論されます。

しかし、この年に子どもを産まないよう努めた夫婦は、必ずしも丙午の迷信を心から信じていたわけではなかったと私は考えています。

ただ、丙午生まれの女の子は気性が荒くなり結婚も困難になるといったことがまことしやかに言われると、迷信だと分かっていても、これから子どもを授かろうという夫婦にとってあまり気分のいいものではなかったはずです。

たとえ本人たちは全くそんなことを気にしてなくても、他人が少しでも信じてるのなら、と考えるとやはり不安になってくる。

もしも産まれてくる子どもが、それで少しでも差別や不利益を受ける可能性があるのなら、なるべくそれを避けようと考える親たちがいても不思議ではありません。

さらに、この昭和41年あたりに結婚して子どもを生む年齢の人たちの親の世代が明治、大正生まれであったことも、出生率の低下に大きな影響を与えてたのではないでしょうか。

昭和41年(1966年)のもう一つ前の丙午は、明治39年(1906年)でしたが、この年に生まれた女子が結婚適齢期になった時、丙午生まれであることが原因で縁談がまとまらず、自ら命を絶つなどの事件も少なくありませんでした。

そのことを知る明治、大正生まれの親たちは、自分の子どもに丙午の年には子どもを生まないように助言した可能性も大きいのではないかと考えられるのです。

明治、大正の生まれですと、まだ干支や迷信といった類のものを重視する世代ですので、本当に丙午の迷信を信じていた人も結構いたのかもしれません。

しかしこの世代の親たちの大半もまた、やはり迷信だとは知りつつも子や孫の将来を案じ、その思いが出生率低下という状況を生み出したのではないでしょうか。


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