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「枚挙にいとまがない」の意味 その例文おかしくない?

2018.03.07

 

「枚挙にいとまがない」の意味 その例文おかしくない?

日常会話ではあまり聞くことはありませんが、TVや本などではたまに見聞きする「枚挙にいとまがない」という言葉。

意味としては非常に簡単なのですが、ネットではこの「枚挙にいとまがない」という言葉を解説する際に「それおかしくない?」という例文を載せているサイトが結構見られます。

この記事ではまず「枚挙にいとまがない」の基本的な意味について今一度見直した上で、おかしいと感じてしまう例文を通して、この言葉の本質的な意味に迫っていきたいと思っています。

では一緒に見ていきましょう。


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枚挙にいとまがない、の意味 辞書での説明

まずは辞書等で説明されている、一般的な意味を確認をしてみたいと思います。

枚挙にいとまがない

枚挙  「ひとつひとつ数えること」

いとま 「暇(時間)」

=「ひとつひとつ数える時間がない」(ほど数が多い)

つまり「数え上げるときりがない」「数が多すぎて、いちいち数えきれない」という意味であるということ。

ちなみに「いとま」は「遑」とも書きますが「暇」とほぼ同じ意味です。

枚挙にいとまがない その例文おかしくない?

「枚挙にいとまがない」という言葉ですが、ネット等では何だかおかしな例文を見かけることがよくあります。

ではまずは私が創作した文章をごらんください。

「あの公園にいるハトは、枚挙にいとまがない」

どうでしょう、ものすごく違和感を感じませんか。説明できなくとも感覚的に何かおかしいと思ったのではないでしょうか。

しかし思い出してください。辞書の説明では「数が多すぎて、数え上げるときりがない」とあったはずです。

そうであるなら間違いとは言えないはずですが、なぜ違和感を覚えるのでしょう。

では次に実際にネットにあった例文を見てください(多少細部は変えてあります)

「あの子を食事に誘いたい男は、枚挙にいとまがない」

「この地域から出ていく若者は、枚挙にいとまがない」

これらに関しても違和感を感じましたでしょうか。ぱっと見ただけではおかしいと思わなかったかもしれません。

しかしこれらの例文とハトの例文の違いは、その対象が人間であるか鳥であるかということだけで、用法的には全く同じなのです。

「枚挙にいとまがない」の本質的な意味

ではこちらの例文はどうでしょうか。

「人間の乱獲によって動物が絶滅した事例は、枚挙にいとまがない」

「今では考えられないような逸話は、枚挙にいとまがない」

全く違和感を感じない文章ですよね。ではハトの例文などと何が違うのでしょう。

つまりこの「枚挙にいとまがない」という言葉は、単純に「数が多いこと」を表す言葉ではなく「例を挙げれば」「列挙すれば」という意味合いが本質的に含まれるべき言葉であるということ。

この考えからいうと「単純に同じものがたくさんある」という意味で使うのは間違いということになります。

つまりハトの例文には、列挙する、例を挙げる、という意味合いが全く含まれていないため、非常に違和感のある文章になっていたんです。

しかしこの「枚挙」という言葉に関しての辞書の説明は「ひとつひとつ数える」という非常に形式的なものでした。

これは個人的な憶測なんですが、「枚挙」という言葉は「挙」が使われていることから考えても「列挙する」「例を挙げる」というのが本来の意味だったのかもしれない、と思っています。

無理して使うべからず

「数えるものは特に決まっていない」「案外使いやすい言葉」と説明しているサイトが結構あるのですが、とんでもありません。

その使用法は非常に限定されたものであることは、先の説明でお分かり頂けたと思います。

こういった言葉を語彙として知っていることは大切なことです。

しかしその使い方に絶対的な確信を持ってないのなら、ビジネスや公の場で変に使わないほうが身のためです。

ひとつ間違えば恥をかきかねませんしね。


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